【KANSAS】

1999年3月11日のライヴ案内


An e-mail from Phil Ehart

2002年1月28日、アメリカ・カナダからの出張から戻って会社に出社するとPhilからメールが入っていた。
クリスマスカードありがとうの言葉とともに、送ってくれたアコースティック・ドラムを使っているという文だった。
丁度一年前、名古屋で話をしてその後社内で承諾を取り、Phil Ehart用に作ったドラムセットを気に入って使ってくれている
というのだ。これ以上の幸せはない。これからのレコーディングで使ってもらえると良いのだが。

実はBig Boss HagiとPhilはほとんど会話を交わしたことがない。これは20年以上のヤマハドラマーとしては珍しい。
だから1999年の来日の時にPhilがHagiにコンタクトを取ってきたとき、出張中だったHagiは「安田、おまえが対応しろ」と
指令が出た。願ってもないことだった。一番最初はファックスで交信していたことを覚えている。

Philは頑固である。彼はヤマハを使い始めてからずっとRecording Customを使用している。だから、来日中にもRecording Custom
を使う。だが、我々の貸し出し備品にRecording Customはないので、いつもレンタル会社のものを使用することになる。
2001年1月17日には、その頑固なPhilに新商品のBeech Custom Absoluteを紹介して、これを使ってみてくれないかと提案した
のであった。できあがったばかりのリーフレットを見ながら、俺の話を聞いてくれたPhilはしばらくの間考えて、「このWhite Marine
Pearlに興味がある」と言った。これはヤマハドラムでは久しぶりのカバリング(塗装ではなく、プラスティックのシートをドラム胴に
巻く仕様)である。俺は普通の塗装仕様を勧めたのだが、この仕様でないならいらないと言う。頑固なPhilのことだから引き下がらない
だろうと思い、Philの希望のまま進めた。

3月頃に完成したのだと思うが、量が多いため船便で送るがそれでいいね、と念をおしたところ、次のライブで使いたいからと期日
指定をしてきた。「船便では間に合わない」
航空便では送料が高くなりすぎるので、船便にしたい旨を伝えると「自分で航空便料金を払うから間に合わせて欲しい」とのPhilからの
返事があった。やはりPhilは頑固である。頑固なだけではなく、自分の音楽のためにお金の使い方を知っているといった方が良いか。
ますますPhilを尊敬する俺であった。
そのBeech Custom Absoluteを使っての演奏を期待している。

[2002年2月9日(土)記載]



KANSASの公演が終わった。素晴らしいライブだった。



I met KANSAS in Nagoya Bottom Line on Jan 17 2001.

長い間の夢だったKANSASのライブを初めて見たのは1999年だった。always never the sameを
制作しての来日だった。初めてのライブだったので、感じた点は非常に多くあったが、Violinに
Robby Steinhardtが復帰したこと。RobbyはViolinだけではなく、Lead VocalそしてBackground Vocal
としても非常に重要な位置づけにあった人なので、全盛期のKANSASにかなり近い顔ぶれとなっていた。
その同じメンバーで2001年日本公演をすると言うことで期待していた。

リハーサルが4時からと聞いたので、その時間に行ったが、5時半に延びたとのこと。出直して5時25分に
会場入りする。ドラムテクニシャンのJ.T. Thompsonに連れられて楽屋へ。
Phil Ehartが迎え入れてくれた。"How have you been?"とPhilから挨拶されて会話は始まる。
自分で用意した仕事の話は順調に進んだ。実現できれば非常に嬉しいのだが、会社内での調整をしないと
いけない。Philは相当の堅物だと思っていたが、なぜか俺の話には心を開いてくれる。今まで誰がやっても
うまくいかなったのだが。

話ができるのは良いのだけど、「リハーサルはしないの?」の質問に「しないよ」とのこと。1999年の
コンサートの時は非常に短いながらもリハーサルやっていたのに。J.T.を始め、Crewのセッティングは
完璧だから問題ないのだろうが。

予定の7時を少し回ってからメンバーがステージに。Bottom Lineは後部に少し座席はあるものの、当然
スタンディングで演奏を聴く。熱くなるにはスタンディングが良い。コンサートまで立っている時間が長くて
何時間も立ちっぱなしでフラフラしそうであっても、これが快感になるのだ。

<Song for America>、<Miracles Out Of Nowhere>、<Cheyenne Anthem>、<Hold On>、<Portrait(He Knew)>
等、俺が好きな曲が次々と演奏されていった(尚これらはこの日の曲順通りではない)。
新曲<Icarus II>を聴くことができた。感動である。
アンコールは<Point of Know Return>、<Dust In The Wind>、<Carry On Wayward Son>であった。
<Carry On Wayward Son>を聴いた時は体中に電流が走った。感動ここに極まる。
演奏中は黙って静かに聴いてはいない。周りの客に迷惑にならないように歌っている。KANSAS一緒に歌えるなんて
これ以上の幸福があるだろうか。

コンサートが終わった後、ぼーとしながら、東京から駆けつけた伊藤さんと短い会話を交わし、その後楽屋へ。
Philから"Did you rock out?"と訊かれた。もちろん"YES"である。
Philと熱い握手を交わして別れる。
今世紀最初の最高のコンサートはKANSASであった。


KANSAS Japan Tour 2001


1月16日 火 大阪IMPホール
1月17日 水 名古屋ボトムライン
1月18日 木 松本M-ウィング 
1月20日 土 新宿厚生年金会館
1月21日 日 横浜ベイホール
1月23日 火 ゼップ仙台
1月24日 水 青森・八戸市公会堂
1月25日 木 ゼップ札幌
問い合わせ先 クラブチッタ川崎 044-244-7888

尚、1月24日の青森公演は中止になったとのこと。




学生の頃、ロックをかなり聴いた時期がある。今ではほとんどロックのCDを聴かなくなっているのだ
が、例外的に今でも継続して聴き続けているバンドがKANSASだ。
高校生の時、アメリカ民謡研究クラブ(通称アメ研)に所属し、ギターを弾きながら歌っていた。当時は
自分にとってギターは伴奏楽器であった。フォーク、或いはニューミュージックと呼ばれていた音楽を
演奏していた。
アクースティック楽器がメインだったアメ研とは別のクラブで軽音楽部があった。ロックをメインに
演奏していた。このクラブで一番うまいバンドが演奏していた曲が<伝承(Carry On Wayward Son)>
であった。かっこよかった。厚いコーラスと楽曲の形式美に酔いしれた。ただ、聴いて良い曲とは
思ったが、自分が演奏したいとは思わず、KANSASへの興味は一度途切れてしまう。
進学後、気に入ったアルバムはどんどん聴いていた時期がある。その時期にKANSASに没頭した。
発売されていたレコードは全て買って、レコードに合わせて歌っていたのが昨日のことのようだ。
≪POWER≫までは全てレコードで聴いていたが、その後全てCDで買い直す。

KANSASのバンドとしての歴史とディスコグラフィー:


White Clover~KANSAS (1970)~KANSAS 第2期 (1971-1973)~White Clover 第2期 (1973)~
White Clover 第3期 (1973-1974)~
KANSAS 第3期 (1974-1981)~


・KANSAS (SRCS 6293 Sony Records 1974)
KANSASのデビューアルバム。大作主義。<Can I Tell You><Lonly Wind><Journey From Mariabronn>
特に好きなのは<Can I Tell You>だな。ビデオでライブ版を見るとしびれるな。かっこいい。


・Song for America (SRCS 6294 Sony Records 1975)
名曲<Song for America>を収録。<Lamlight Symphony>
<Song for America>は初期の代表作で、今でも演奏される名曲である。
実にドラマティックな展開と、アメリカへの深い思いを歌った詩は胸を打つ。

・Masque (SRCS 6295 Sony Records 1975)
<It Takes A Woman's Love (To Make A Man)>


●Leftoverture (SRCS 6038 Sony Records 1976)
KANSASの作品中、名盤中の名盤である。いったい何度聴いたことだろう。
ツインギター、ツインキーボードの良さが遺憾無く発揮されている。<Carry On Wayward Son><
The Wall><Miracles Out Of Nowhere><Questions Of My Childhood><Cheyenne Anthem><Magnum Opus>
Jeff Glixmanがプロデュース。
全てが良い曲だ。KANSASで一枚だけ選べと言われたら、これを取るだろう。
興味のある人はまずこのアルバムから聴いていただきたい。


●Point of Know Return (SRCS 6039 Sony Records 1977)
≪Leftoverture≫と甲乙付けがたい名作。<Point of Know Return><Portrait(He Knew)>
<Closet Chronicles><Dust In The Wind><Sparks Of The Tempest><Nobody's Home>
<Hopelessly Human>
とりわけ<Dust In The Wind>が素晴らしい。これはKANSASの最大のヒット曲。
アクースティックギター、ヴァイオリン、チェロで構成される叙情的なチューン。KANSASはこの
曲の後、ハードでなくても聴かせる曲を作っていく。
名曲揃いのアルバムだが、特別に選べば上記の曲と<Portrait(He Knew)>であろうか。
イントロを聴いただけで体が熱くなってくる。
Jeff Glixmanがプロデュース。


・Two for the Show (SRCS 6040 Sony Records)
ライブアルバム。レコードでは2枚組みだったが、CDでは1枚に。時間の関係で収録曲が1曲少ない。
どの曲も良いが<Sparks Of The Tempest>はスタジオ録音よりライブヴァージョンの方が、
断然迫力があって良い。<Magnum Opus>もSteve Walshの叫びがドラマティックだ。




続く。

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