Acoustic Breathシリーズで使用された楽器

  第9回: 杉浦 浩二

アコースティック・ブレスシリーズで録音に使用された楽器について、プレイヤーに自由に語って頂くコーナーです。


第9回: 杉浦 浩二

 New! 

・Cozzy Guitar Craft "HOKULANI"

 「Sound in the Wind」のitsumo isshoに使用したウクレレ

 ”HOKULANI” とは、ハワイ語で星空を意味します。ハワイの代表的な木材である、ハワイアンカーリーコアを用いた星型シェイプのウクレレで、星型のトリプルサウンドホール(トップにふたつ、サイドにひとつ)を設けたボディに、星型のパールインレイをちりばめ、そのまわりをロープバインディングでぐるりと巻きました。そんな、”見た目”を最重視して製作したウクレレです。星が好きだという妻を思い、以上のような”星づくし”ウクレレは完成しました。

 ウクレレはギターなどに比べて、いい意味で”自由度”が高い楽器だと思ってます。形や音もなんとなく、決められた理想から外れても許してくれそうな雰囲気(?)があります。HOKULANIも決して正統派ウクレレではありません。でもハワイ旅行に持参したら、現地の方はHOKULANIをとても楽しんでくれました。ちっちゃな楽器ですが、あまり細かなことは気にしない”フトコロの大きそうなところ”が、ウクレレが大好きな理由であり、製作していて楽しいなと思う点です。

(杉浦 浩二 Cozzy Guitar Craft "HOKULANI" 2007年5月14日)

第8回: 上原 真吾

 New! 

・Takamine 500series custom Feb.2005 for Mr.Shingo.Uehara model

 「Sound in the Wind」の「グリーンランド」「山」に使用したギター

 個人製作家を含め、アコースティックギターには数々の種類があります。選考するには、信頼/音/形/材質等が理由となります。ギターを始めて10年経った節目に、一生物のギターを購入するに当たって上記の様な理由の他、やはり地元民として岐阜県中津川市坂下で作られているタカミネに関心を持っていました。これが一番の選考理由です。

 このカスタムギターは、フィンガーピッキングに最適なタカミネのオリジナルスタイル(500series)を基本スタイルとしシャープな音色を希望として材質は、スプルース単板、ローズウッド単板にしました。

 装飾は、メイプルバインディングとアバロンインレイを施しています。フィンガーボードのエボニーと色の大差が無いようにヘッドのつき板と、ブリッジのローズウッドは黒く塗装されています。ポジションマークはタカミネオリジナル(ダイヤマーク)を採用して外観はとても美しいです。外観同様、音色も素晴らしく美しいです。

 弦を弾いた時の鳴りはローズウッド独特の透明な響き、バランスも良い他、音の振動が驚く程体感できます。やや硬い音がタカミネギターの特徴でもありますが、それは一音一音がはっきり聴こえる事だと思います。

 個人的な意見ではありますが、エレアコとして有名であるタカミネですが、生ギターとしても十分対応出来るギターだと思います。地元の高峰山から名前がついたタカミネギターは、地元の風景曲として必要不可欠なギターです。

(上原 真吾 Takamine 500series custom 
Feb.2005 for Mr.Shingo.Uehara model 2007年5月13日)

 New! 

第7回: 梅里 光

・YAMAHA LL66 Custom

 「Sound in The Wind」の「桜舞」の録音に使用したギター。

 数年前に、YAMAHAがアコギのモデルチェンジを実施して、一斉に新しいギターを売り出した事は、雑誌などで知っていた。
 設計を担当したのは、僕がYAMAHA和田工場(当時)にお邪魔した時に出会っていた方だという。当時は新入社員だったのに、今では設計責任者として活躍しておられるようだ。
 YAMAHAのギターに関して、僕個人の感想としては、とても日本的な音がするので大好きで、ライブで多用するギターも、このYAMAHA新モデルにピックアップを搭載したカッタウェイのモデルだ。今回の設計変更でナット幅が44mmになった事もあって、その新しいモデルを購入したが、音的にはYAMAHA特有の音の硬さが少し薄れて、ボディ内での振動が大きくなった様に感じた。
 多分、構造的により多くの音がボディに伝わる様に変更されたのだろう。
 購入してからは、少し遊び心も出て、知り合いのクラフトマンにお願いして、ヘッドとブリッジにインレイを入れていただいた。

 「桜舞」は、ナッシュビル・チューニングでプレイし、フィンガーピックはアーニーボールを使用している。録音に使用した弦は「D'Addario EJ38H」で、ハイチューニング用のセット。

(梅里 光 YAMAHA LL66 Custom 2007年5月4日)

第6回: 梅里 光

・Terry's Terry TJ Custom(cutaway)

 「Joyous Reunion」の「中庭の風」の録音に使用したギター。

 以前に書いた「Terry's Terry」ブランドのカッタウェイモデルになる。このギターとは、これまた、色んな偶然と出会いが重なって、僕が手にする事になった。

 ジャケット写真をご覧になればわかる様に、殆ど装飾がなく、見た目にも素朴な印象を受けるし、ピックガードは特殊な形で透明のものが付けられている。ペグは交換の跡が見られ、ピックアップを取り外した跡もある。表面の塗装は半艶消しの様になっており、ボディ内部には塗装を施していないタイプだ。

 流石に弾き込んであるためか、音が乾いて素朴に鳴っている。自宅に遊びに来た友人が弾いて、凄く良い音がすると驚いていた。手にしてすぐに調整をお願いし、擦り減っていたフレットを交換し、弦高をギリギリまで下げてもらった。

 サドルは、通常の高さのものと、低いものの2本を作成してもらい、用途によってセットし直している。

 録音に使用した弦は、WOODMANで販売されているフォスファーのライトゲージ。

(梅里 光 Terry's Terry TJ Custom(cutaway) 2007年1月5日)

第5回: 梅里 光

・S&C Custom

 「A Long Way to Go」の「冬雪」の録音に使用したギター。

 Terry's Terryをオーダーしたお陰で、関さんと仲鉢さんと知り合えたのはラッキーだった。それから僕の殆どのギター調整は、お二人にお願いしている。

 今まではドレッドノート系の大きなボディのギターしか所有していなかったのだが、少し小さなボディでカッタウェイ仕様のギターが欲しくなったため、関さんと仲鉢さんに、製作をお願いした。

 一度、工房にお邪魔し、色々と打ち合わせをさせていただいたが、折角だと考え、詳細な部分にもこだわって仕様を確定した。

 ヘッドロゴ、ポジションマーク、バインディング材、ピックガード、ブリッジ、23フレット指板の形ネックの握り、ヒール彫刻、サウンドホールやブリッジのインレイ、ペグ、ロッドカバーなど。僕のワガママの全てを快く受け入れてくれたおニ人には、とても感謝している。

 特にこのギターは、ライブでも使用する事を考えていたので、ピックアップを取り付けた。ピックアップにも色々あるので、様々な情報からFishmanのマグネとピエゾ(マイク付)を別々に出力できる様にして製作してもらった。ライブを重ねて行くうちに、そのピックアップは色々と変わり、現在では、L.R.buggsのマグネと、K&M SOUNDのPure Westernという貼り付け型のピエゾを取り付けてある。

 ライブで使用している機材などは、以下を参照して欲しい。

 http://home10.highway.ne.jp/k-ume/Line.html

 このギターほど綺麗な音のするギターを、僕は知らない。綺麗というのは、一般的に使われる意味での良い音という範疇の大きな意味ではなく、音のキラキラさがとても綺麗という意味だ。クリスタルな音、とでも表現するのがマッチすると思う。

 ライブで多用するうちに傷も増え、僕が所有するギターの中では、結構傷が目立つ気がするが、ネックをしならせてビブラートをかけたりする時もあるので、そろそろ調整に出さなければならないかもしれない。

 録音に使用した弦は、WOODMANで販売されているフォスファーのライトゲージ。

(梅里 光 S&C Custom 2006年9月18日)

第4回: 梅里 光

・Terry's Terry TJ-100 Custom

 「Born in The Air」の「悲哀」と「A Long Way to Go」の「遥かな道」の録音に使用したギター。「中本輝美(テリー中本)」さんと言えば、アコギ好きには、あまりにも有名な方だろう。YAMAHAを退社されていることは、YAMAHAカスタムギターをオーダーした時に知ったのだが、中本さんが新しくデザインされたブランドであるTerry's Terryを、いつかは手にしたいと思っていた。
 雑誌にも沢山紹介されているので、詳細は割愛するが、「関さん」「仲鉢さん」という素晴らしいクラフトマンが製作しているギターである。実際にオーダーをしたのは、1997年で、出来上がって来たのは、1998年になる。
 特に仕様はこだわらず、ヘッドとブリッジにインレイを入れてもらったくらいだろうか。特徴と言えば、元々このギターは、ボディ内部を塗装してある点だと思う。それがどういう意味で、どの程度、音に影響しているのかは、僕には知識も術もないが、バランスの取れた、芯と艶のある音には大変満足している。

 実は、このギターにも、まるで用意されていたかの様な出会いをさせてもらっている。「Acoustic Breath」の発売が、1998年10月であり、ちょうど、このギターが出来上がった頃になる。ある経路を通して「Acoustic Breath」が関さんと仲鉢さんの手に渡っており、僕の名前も覚えておいて下さっていたらしい。Terry's Terryのギターは、ボディ内の皮ラベルにオーダー者の名前が入るため、誰がオーダーしたのかは、すぐにわかる様になっているので、「このギターは、CDに参加している、この人の・・・」と思って下さったのだと、後から、とある人を通して聞き及んだ。
 それからというもの、オーダーしたギターがきっかけで、関さんや仲鉢さんと知り合うことになり、そのお二人が旗揚げした「S&C」というブランドにも繋がって行くことになる。

 「悲哀」は、ライナーを読んでいただければわかるが、1弦を「C」までドロップさせていて、弦の張力が弱くなるため、1弦だけを太いゲージに交換して録音した。録音に使用した弦は、WOODMANで販売されているフォスファーのライトゲージで、1弦のみ、ミディアムゲージの0.13を張った。

 「遥かな道」は、曲を作った時にはCapo2の位置で弾いていたが、録音の最中に、もう少し音に重さが欲しかったために、Capo1にしてプレイしている。

(梅里 光 Terry's Terry TJ-100 Custom 2006年5月27日)

第3回: 梅里 光

・YAMAHA LX-Custom

 「Acoustic Breath」(1st)の「待ち合わせ」の録音に使用したギター。

 「Acoustic Breath」企画の基礎となった「Acoustic Guitar ML」に参加して、ギターを何本も持っている人が多いことに驚いたが、実は僕も新しいギターを欲しくなっていた。前回に記載したMartin D-35では、高フレットに行くにつれて、ピッチのずれが気になっていたし、他のメーカのギターも弾いてみたいと思い始めていたのだ。

 今から考えれば、カポを強く締め付けていたのかもしれないし、弦を押さえる力が強すぎてピッチがシャープするなどのテクニック的な問題だったのかもしれないが、そのD-35は今は手元にないので、確かめる術もない。

 そんな悩みを、D-35のフレットを打ち変えてくれた方と話していたら、YAMAHAのカスタムギターを薦めてくれた。YAMAHAのカスタムギターと言えば、高校生の頃、ため息混じりにカタログばかり眺めていた事を思い出し、胸が熱くなった。

 偶然にも、高校生の頃に好きだったアーティストがTVに映っているのを見た時、とうとう、心に火がついてしまった。

 それから色々な事があり、結局僕は、浜松でYAMAHAのカスタムギターをオーダーすることになり、試作品などのギターが壁一面に並べられた、その部屋に入り、お話しをさせていただいた。

 それは、1991年の冬のことだったと記憶しているが、その時にお話をさせていただいた方の横に、入社されたばかりの青年も同席されていた。カーリーヘアに、Gパンというラフな格好のその方は、現在のYAMAHAギター設計のチーフデザイナーをされている方だ。

 ボディサイズをウェスタンタイプにし、表面板は、えぞ松を選んだ。裏面・側面にはハカランダを使い、4ヶ月後に出来上がったギターを手にした感動は忘れ難い。手にした瞬間、少し重いと感じたが、特に材が厚いというわけでもなく原因はわからない。

 個人的な意見だが、Martinは、アメリカ映画に出て来る様な西部のたくましい女性という感じで、逆に、YAMAHAは、日本の箱入りのとても綺麗なお嬢様という感じだと思う。日本の品質を如実に表す丁寧な作りで、日本の古き木造建築の精神にも通じるものがあると思う。

 キラキラした繊細な音を活かすために、跳ねる感じの「待ち合わせ」の録音に使用した。

 これも、録音に使用した弦は、D'Addario EJ-16。

(梅里 光 YAMAHA LX-Custom 2006年4月19日)

第2回: 梅里 光

・Martin D-35

 「Acoustic Breath」(1st)の「10月の歌姫」の録音に使用したギター。

 このギターとの出会いは、このHPのコラム「私はこんな風に、このアルバムに参加しました」のコーナーを読んでいただければ分かると思う。僕にとって、所謂、初めての高級ギターだった。

 高校を卒業した時に購入したこのギターは、当時フォークを歌っていた事もあって、ミディアムゲージを張り、べっ甲のピックで、ガンガン弾いていたことを懐かしく思い出す。表面板の塗装が剥げてしまう様な弾き方では無かったが、それでもサウンドホールの周りは、ピックで木目が削れてしまうほど弾いていた。

 当時のMartinは、ネックを調整する「ロッド」という部分に特徴があって、調整が可能なロッド(アジャスタブルロッドと呼ばれている)ではなく、「スクェアロッド(ロッドが四角い鉄の棒になっているのでそう呼ばれると思う)」とか「パーマネントネック(固定という意味か?)」という、調整の出来ないロッドを使用していた。

 その辺りの特徴が、ウンチクを呼び、現在でも色んな意味でMartinマニアは多い。ギターをいたわるという意味で、あまり知識の無かった当時の僕であったから、ミディアムゲージを張り、いつもレギュラーチューニングをしたままであったにも関わらず、ネックは殆ど反らなかったので、調整の必要には迫られた事は無かった。

 ただ、少し、表面板のブリッジ部分が出た(お腹が出た)状態になったが、演奏には支障はなかった。

 必要だったメンテナンスと言えば、一度フレットを打ち変えたことがある。
 街の楽器屋経由でメンテナンスに出したが、このギターを大切にしていた僕にとっては、とても勇気が必要だったし、恐くて仕方が無かったことを今でも覚えている。木という材の性格や、自分自身の思い入れなどが入り混じり、他人の手が加わることを知らずのうちに拒んでいたのだろう。

 ところが、メンテナンスを終わって戻って来たギターは素晴らしく、弾きやすくなっていたし、音にも影響は無かった。誰が作業をしたのかを知りたくて、楽器屋に聞き、その後は、幾つかのギターの調整を、その方に直接依頼をすることになる。
 その方との会話の中から、次に紹介するYAMAHAのギターに繋がって行くことになる。残念ながら、社会人になってから音楽から遠ざかっていた時期があって、このMartin D-35はケースに入れたまま、殆ど弾かない日々が何年も続いたことがある。
 その時でさえ、ミディアムゲージで、レギュラーチューニングをしたままだったのだが、流石にトラブルに見舞われてしまった。ブレーシングが剥がれてしまったのである。
 音がボンボンして、どうもおかしいと思ったら、そういうトラブルだった。そのトラブルは、東京在住の有名な方にメンテナンスを依頼し、Acousitc Breathの録音を行ったのは、そのメンテナンスが終わって、それほど時間が経っていなかった頃だと記憶している。

 録音に使用した弦は、D'Addario EJ-16。

(梅里 光 Martin D-35 2006年3月8日)

第1回: 高山千香夫

Martin 000-45 Custom

 「Born in The Air」「A Long Way to Go」で使用したギターです。

 91年にオーダーして、92年に完成して手元に届いたギターです。

 同年代の方々によくあるとおり、中学時代にエリック・クラプトンに憧れたことをきっかけにギターを始めました。74年初来日時のミュージック・ライフのエリック・クラプトンのピンナップがずっと部屋に貼ってありました。

 スノー・フレイクスのインレイが美しい000-45 。そのピンナップ、今では失くしてしまいましたが、確か F# を押さえていた写真だったかな。いつかはこんなギターを弾いてみたいと思って憧れていたものです。

 現実的には学生時代、20代の頃は マーチンのギターを購入するゆとりはなく、30歳を過ぎて長男が生まれるのをきっかけに最後の贅沢としてカミさんに相談し、黒澤楽器に出かけました。

 そもそも私はギターに関しての知識は疎いほうで、楽器屋さんに頻繁に足を運ぶわけでもありませんでした。今のように中古楽器店の存在を知らず、直接マーチンへオーダーするなど考えてもみませんでした。当時はアコースティック・ギターは低迷期で、円高でしたので購入するタイミングとしてはよかったのでは?

 このMartin 000-45 Customのサイド・バックはハカランダです。
 実はハカランダは黒澤楽器の店員の方から教えていただくまで全く知りませんでした。ハカランダとインディアン・ローズの差額は10万円ほど。
 指版のインレイをスノー・フレイクスには拘りがあったものの、強く勧められてハカランダ仕様にしました。
 今はもう辞められた担当の方に感謝しています。

 手元に届いた直後、アンプラグド・ブームとなりました。
 最近では弾く機会は少なくなりましたが、そんな私が最初に手にした高級?ギターです。ただ、「最後の贅沢」は「最初の贅沢」となってしまったような。完成度の高いギターの味をしめてしまいました。

 「Born in The Air」「A Long Way to Go」の録音時は使用できるギターはこのMartin 000-45Customと000-42EC の2本だけでした。
 000-42ECはネック幅が OM なので、私にとって弾きやすい000-45 Customを使用しました。

(高山千香夫 Martin 000-45 Custom 2005年11月14日)


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