Born in The Air

制作マル秘裏話その1

北村昌陽作

 ということで、立派な定価がついたCDに、プロの人と一緒に私の曲が入ってしまいました。私の実感としてはこれは、「なんだかすごいことになってしまったなぁ」というのが正直なところ。家族や友人など、周囲の反応も似たようなものです。これはとりもなおさず、私がそんなことをできるレベルのギタリストとは、自他共に思われていなかったことの証でしょう(苦笑)。

 そんな私が、どんなプロセスを経てCD収録までこぎ着けたのか、ここに記録を残しておきたいと思います。あとに続く人たちの勇気の糧になるように・・・

 このCDのシリーズ第1作 "Acoustic Breath" を入手したのは98年の10月頃。CDが出た直後に、そこに参加したギター仲間から購入しました。立派な CDだな、でも自分には関係ない遠い世界だなと、正直思いました。なぜならその時点の私は・・・・

・中学生の時、英会話用のLLカセットにフォークソングをダビング録音してみたことがあるが、それ以降録音の経験はない。もちろん機材は何も持っていない。

・高校生の時フォークソングを数曲、大学生のときバンド用のロックっぽい曲を数曲(当時はベース担当)作ったことがあるが、それ以降、作曲はしていない。アレンジものも "Scott Joplin's New Rag" 1曲だけ。

・TABギタースクールから出ているクラシックラグの教則本に載っている曲なら何曲か弾けたが、ノーミスで弾けることは滅多にない。いわゆるアドリブプレイは全くできない。

 ・・・・といった状況だったのです。

 年末が近づいて、アコースティックギター関係のメーリングリスト「AGML」に、第2弾参加者募集のメールが流れました。募集をかけたのはもちろん安田守彦さん。でも、やっぱり自分には関係ない話だと思っていました。

 気分が変わってきたのは98年のクリスマス頃。安田さんはそれまでに何度も募集メールを流していたのですが、最終募集メールで「たとえ制作プロセスの途中でリタイアすることになっても、それがきっかけで曲作りの楽しさを感じてもらえればそれでいい」といった趣旨のことを流しました。当時の私は、市販のTAB譜通りに弾ける曲を増やすだけのギター演奏にやや飽きがきていたようで、この一言が妙に心に残りました。そこで、「まあとにかく何かやってみよう」という気持ちで、募集締め切り日の深夜、参加申し込みをしました。

 さて参加するとなって、まずやるべきことは二つありました。

その1:機材をそろえること

その2:曲を作ること

 曲はじっくり考えるとして、機材はとにかくそろえないと。作品提出は「DATテープで」ということになっていましたが、私はDATというものが何なのかさえ知らなかったのです! まあでもテープというのだから何かカセットみたいなのがあるのだろう、それのレコーダーとテープ、それになるべく高性能のマイクがあればいいのだろう、というあたりまで考えた私は、クレジットカードを手に秋葉原へ・・・・ 

 いや、その前に一つやったことがありました。このCD参加者だけのメーリングリストがAGMLとは別に作られていたので、一応そこで「どんな機材か必要ですか?」という質問を出しました。最低限必要なのはやはりDATのレコーダーとマイク。マイクはコンデンサー型とダイナミック型があるが、ダイナミック型は録音特性に癖があり、素人にはコンデンサー型の方が扱いやすい、といった回答が何人かの人から寄せられました。

 そこでいよいよ秋葉原へ。いわゆるオーディオコーナーを眺めてまわってふと気がついたのは、「マイクジャックがついているDATのデッキは意外と少ない」ということでした。いやでもこれは気がついて本当によかった。さもないと、マイクをつなげられない機種を買うところだった(爆)

 レコーダーは、展示品処分で半額で出ていたSONYのDATデッキを入手しました。これが約10万円。それから、コンデンサー型とダイナミック型の音の違いを耳で確認したかったので、どっちかは無駄になるのを承知でSONYのコンデンサー型ワンポイントステレオマイク(たしか2万円弱)と、SHUREのダイナミック型マイク(これも2万円ぐらい)を購入。あと、120分のDATテープ10本パック。どうせ山ほど失敗テイクを録ることになるだろうと思ったから(笑)。それにマイクスタンド。いやあなかなかの投資だ。これだけ投資すると「一大事業をする」という気分が高まってきました。

 さてもう一つの問題は、曲作り。それは次回に・・・・・(続く)

(99/12/10記)

制作マル秘裏話その2へ続く

北村昌陽ホームページ

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